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お役立ち情報

2016-02-15

兼務役員が役員定年後に高年齢者の継続雇用制度により再雇用される場合は、所得拡大促進税制の対象となりますか?

【質問】

従来、兼務役員であったため所得拡大促進税制の計算対象に含めていなかったAさんが、前期に定年退職し、継続雇用制度を適用し定年後は従業員として継続して勤務しています。そこで下記について教えてください。

①継続雇用制度の対象者は所得拡大促進税制の対象となりますか?

②対象となる場合は、いつからの給与を計算対象に含めたらいいでしょうか?

 

【回答】

平成25年税制改正で導入された「所得拡大促進税制」は、利用拡大のため平成26年,

及び平成27年税制改正により適用要件が緩和されました。適用に当たっての、制度の留意点を簡単にまとめると次のようになります。

 

(1) 対象年度

平成25年4月1日から平成30年3月31日までに開始する事業年度

 

(2) 適用要件

  • 雇用者給与等支給増加基準雇用者給与等支給額×2~5%(中小企業者等は2~3%)

 

  • 雇用者給与等支給額比較雇用者給与等支給額

 

  • 継続雇用者平均給与等支給額比較継続雇用者平均給与等支給額

 

(3) 用語の説明

  • 基準・・・平成25年4月1日以降に開始する事業年度のうち最も古い事業年度の直前事業年度
  • 比較・・・前事業年度
  • 平均・・・月ごとの延べ人数の合計額で除して計算
  • 雇用者給与等支給額・・・損金に算入される国内雇用者に対する給与等支給額
  • 継続雇用者・・・適用年度と前事業年度に給与等の支給を受けた国内雇用者で雇用保険一般被保険者に限る。

 

(4) 適用のポイント

国内雇用者は、法人の使用人(役員等、兼務役員を除く)のうち、国内の事業所に勤務する雇用者で、労働基準法第108条に規定する賃金台帳に記載された者をいいます。

一方、継続雇用者は、前年度から給与等の支給を受けた国内雇用者で、一般被保険者に限るとされていることから、前年度退職者や当年度入社社員は含まれません。また一般被保険者が対象であるため、高年齢者の継続雇用制度対象者、日雇いや短期契約等を除外します。

出向先法人が支出する給与負担金については、出向先法人の賃金台帳に出向者を記載している場合は、その給与負担金は雇用者給与等支給額に含めます。この場合、出向元法人で一般被保険者に該当していれば、出向先法人でも一般被保険者として扱っていいことになっています。

 

(5) 税額控除

税額控除額=雇用者給与等支給増加×10%

ただし、法人税額×10%(中小企業者等は20%)を限度とします。

 

①まず兼務役員は、国内雇用者に含めないとされているため、兼務役員を退職した後の取扱いについてのご質問ですね。退職後は、そのまま高年齢者の継続雇用制度を適用して継続して雇用しているようですが、継続雇用制度の対象者は、国内雇用者に含まれます。一方で継続雇用者には含まれません。よって、適用要件である平均給与等支給額の計算には含まれませんが、雇用者給与等支給額の計算に含まれ、所得拡大促進税制の計算対象に含まれることとなります。

 

②次に、いつからの給与等を対象に含めるかですが、兼務役員を辞任した翌日から継続雇用となっている場合は、継続雇用となった時点からの給与等が対象となります。

 

以上

※2015年8月31日作成

※作成日現在の法令にもとづき作成しています。