ケーススタディ
2015-12-18
設立2期目の免税事業者の判定(特定期間の判定)
【前提条件】
各ケースについては、資本金が1千万円未満であり、組織再編がなく、大規模法人等(基準期間相当期間における課税売上高が5億円超の者)に支配されていないことを前提とします。
ケース① (A株式会社) |
~法人設立1期目を1年間とし、 設立月から毎月2百万円の課税売上高が出る場合~ |
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設立年月日:平成27年6月1日 | ||
決算期:5月末 | ||
上半期課税売上高:12百万円 | ||
下半期課税売上高:12百万円 |
ケース② (B株式会社) |
~法人設立1期目を1年間とし、当初3ヶ月間は営業準備 期間、その後、毎月2百万円の課税売上高が出る場合~ |
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設立年月日:平成27年6月1日 | ||
決算期:5月末 | ||
上半期課税売上高:6百万円 | ||
下半期課税売上高:12百万円 |
ケース③ (C株式会社) |
~法人設立1期目を8ヶ月とし、 設立月から毎月2百万円の課税売上高が出る場合~ |
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設立年月日:平成27年6月1日 | ||
決算期:1月末 | ||
6月~11月の課税売上高:12百万円 | ||
12月~1月の課税売上高:4百万円 |
ケース④ (D株式会社) |
~法人設立1期目を7ヶ月とし、 設立月から毎月2百万円の課税売上高が出る場合~ |
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設立年月日:平成27年6月1日 | ||
決算期:12月末 | ||
6月~11月の課税売上高:12百万円 | ||
12月課税売上高:2百万円 |
【特定期間の概要】
基準期間(1年決算法人の場合は前々事業年度)における課税売上高が1,000万円以下である場合には、原則として免税事業者に該当します。そのため、設立1期目及び2期目については、基準期間がないため、これまでは免税事業者に該当していました。
しかし、税制改正により、平成25年1月1日以後に開始する事業年度より、基準期間の判定に加え、特定期間の判定が必要になりました。
特定期間とは、前事業年度の開始の日以後6月の期間(決算締日にあわせて調整されます。)となります。
特定期間における課税売上高が1,000万円を超える場合には、基準期間における売上高が1,000万円以下であっても課税事業者となります。
※給与等(所得税の課税対象とされる給与、賞与)の金額をもって、特定期間の課税売上高とすることができます。
【ケーススタディ】
ケース①~④は、共通して設立2期目となりますので、基準期間判定は不要ですが、特定期間判定が必要になります。以下、特定期間判定についてのみ、解説します。
ケース① A株式会社の場合
A社の場合、特定期間(平成27年6月~11月)の課税売上高が12百万円となりますので、課税事業者となります。ただし、給与等の金額をもって特定期間の課税売上高とすることができますので、給与等の金額が、1千万円以下であれば、免税事業者となることが可能です。
ケース② B株式会社の場合
B社の場合、特定期間(平成27年6月~11月)の課税売上高が1,000万円以下である6百万円であるため、免税事業者となります。
ケース③ C株式会社の場合
C社の場合、特定期間(平成27年6月~11月)の課税売上高が12百万円となりますので、課税事業者となります。ただし、給与等の金額をもって特定期間の課税売上高とすることができますので、給与等の金額が、1千万円以下であれば、免税事業者となることが可能です。
ケース④ D株式会社の場合
D社の場合、特定期間(平成27年6月~11月)の課税売上高は12百万円となりますが、前事業年度が7ヶ月以下である場合には、短期事業年度に該当し、特定期間の判定は適用除外となります。
【まとめ】
特定期間の判定においては、給与等をもって課税売上高とすることが可能になりますので、特定期間における給与等が1千万円以下であれば、これまで通り2期間は免税事業者となることが可能です。
一方で、法人設立後、事業譲渡等により、事業規模が拡大し、課税売上高及び給与等が1,000万円を超えることが見込まれる場合には、設立1期目を7ヶ月決算とすることで、事業規模に関係なく、最長で1年7ヶ月は免税事業者になることが可能です。
2015年9月2日作成
作成日現在の法令にもとづき作成しています。