税理士法人大手前綜合事務所

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2016-03-08

会計上の繰延資産と法人税法上の繰延資産何が違うの?

①繰延資産の意義
会計上の繰延資産は、企業会計原則注解15「将来の期間に影響する特定の費用について」の中で、「将来の期間に影響する特定の費用とは、すでに代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用をいう。」とされており、「その効果が及ぶ数期間に合理的に配分するため、経過的に貸借対照表上繰延資産として計上することができる。」こととなっています。

一方、法人税法の繰延資産の意義は、法人が支出する費用のうち、支出の効果がその支出日以後1年以上に及ぶものをいいます。

会計上も法人税法上も一見、同じ内容に見えますが、次のような違いがあります。

 

②繰延資産の種類
 会計上の繰延資産は、実務対応報告第19号「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」で株式交付費、社債等発行費(新株予約権の発行に係る費用を含む。)、創立費、開業費、開発費の5つが限定列挙されています。 一方で、法人税法の繰延資産は、法人税法基本通達(8-1-1~8-1-15)で、会計上の繰延資産に該当するものの他、例えば、次のような費用が列挙されています。
  •  公共的施設の設置又は改良のために支出する費用・共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
  • 資産を賃借するために支出する権利金
  • ノーハウの頭金等
  • 広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用 等

 

 会計上は限定列挙されたものが繰延資産となりますが、法人税法では上記のような費用も繰延資産となります。会計上の繰延資産より法人税法の繰延資産のほうが広義に捉え、費用と収益の対応を図る意図が見受けられます。

 

③会計上の注意点
 以上のように、会計上繰延資産として限定列挙されているもの以外でも、法人税法の繰延資産に該当する支出があれば、会計上は費用として処理しているものであっても、法人税法上は損金として認められない可能性があります。そのため、法人税法の繰延資産に該当するかどうかの検討が必要です。

 

2015915日作成

※作成日現在の法令にもとづき作成しています。